人と地域のWEBマガジン ISHIKAWA DRAWER

AsukaFood Analyst

雅珠香(あすか)フードアナリスト

日々是消化。言葉でくすぐるストマック。

Person

#03

2016.06.15

自然は自然と教えてくれた。

穴水町と能登町の境くらいにある、家の目の前が海で、裏が山というか畑というか、そんなところで育ったので、その時は何も意識していないけれど、旬や四季というものを自然と味わわせてもらっていたと思います。今では旬というものが分かりづらくなっていて、例えばトマトは一年中どこにでも売っていますけど、本来の旬は夏ですよね。そういったことを自然と学ばせてもらっていたと思います。小さい頃は、家の前にお米をはざ掛け※しているのも当たり前でしたし。一番最初にレストランっていいなと思ったのは、高校1年生の頃。3年生の男の子とお付き合いしていたんですが、マセているんですけど、フランス料理店に行って。今思うと手軽にいけるお店なんですが、ちゃんとテーブルセッティングがしてあるお店で。初めてそういうところに行って「レストランっていいな」と何となく感じた部分が今につながっているのかなと思います。ただ、反面、私は穴水生まれなので、美食やグルメという華やかな部分ではなく、別の側面も見えているかなと思います。食べることと書くことが好きで、高校生の頃から絶対食に関する仕事はしようと思っていて、大学※も農学部で食品科学を勉強しました。県内で農学部があるのはそこだけでしたし、弟と妹がいる3人兄弟の一番上だったので気を利かせて県内の公立大学に進学したんですが、弟と妹は大阪と東京の私立大学に行きましたね。。。

※はざ掛け:刈り取った稲を稲木にかけて天日で乾燥させること。この稲木を「はざ」というそうです。
※現在の石川県立大学です。

寿司ショックで気づいたこと。

大学卒業後は菓子メーカーで商品開発を7年半させていただいていました。食の関連の仕事に就きたいということが一番だったんですけど、その中でもお菓子ってクリエイティブで夢があるなと思って。出張で東京と金沢を行ったり来たりする生活をしていて、そうすると自動的に外食が増え、せっかく出るならおいしいものを食べたいなと思って。外食の機会があったのと、ちょうどその頃に出てきたのがブログというものだったんですね。最初は本当に趣味で書かせてもらっていました。それが誰かの役に立っているっていう実感があったり、そして反応があると自分も喜びにつながって、今は両足を突っ込んでいる状態です。

 

会社を辞めたのは28歳の頃でした。理由は一つではないのですが、これからはご当地の時代だと思ったのはあります。出張で行った時に東京で何となく入った回転寿し屋さんがあったんですけど、この辺ってすごいおいしいじゃないですか。でも正直、クオリティの違いに衝撃を受けて、ご当地性ってあるんだな、ご当地が得意とするものがあるんだなというか。あとは、私はライターになりたかったので、いろんなことが重なって、ですね。

花嫁のれんに獅子頭。能登の伝統を感じさせる縁起物。

役割を自覚する。

ライターの勉強は独学です。いろんな旅行誌などを読んで参考にさせてもらいながら、また、フードアナリストの資格を取る中で教えてもらったこともありますし。レストランっていうのは料理だけではなくって、料理があり、内装があり、サービスがあり…といろんな背景がありますよね。なので、誰かの役に立つ情報を重視して書くようにしています。「おいしい」「まずい」を重視するのではなく、おいしいと書きたいのであれば、何がどうおいしいかをdescribeするようにしています。うまみが相乗効果を発揮していてこの料理は完成度が高いとか、酸味が主張しすぎて味わいを欠いているとか、そのような書き方をしますね。あとは、「一人で行くといいお店です」とか、「カップルで行ったらいいお店」、「ファミリー使いするととってもいいお店ですよ」とか。私の信条というかクレドがあって、それは「自分の才能の種を育てて花を咲かせることによって、自分以外の人の幸せにつなげること」。ブログを始めてから、6、7年でしょうか。1日1軒を紹介する形式にしたのは…5年くらいはやってるのかな?最初は生活のこともいろいろ書いていたんですけど、世間が私に欲しい情報は、映画とか化粧品ではなく、食べ歩きの情報なんで、そぎ落としていった感じですね。

 

フードアナリスト※の1級は3年くらい前に取りました。1級を取得しているのは重要ですけど、ライターって自分の専門性が一番大事なんですね。自分が何の専門家であるか、自分が日本一、世界一であるといえる専門性があると仕事になります。たとえばフレンチの専門家っていうとめちゃくちゃ幅が広くて、上には上がいるんですよね。パンの専門家といっても、たとえばクロワッサンの専門家、オリーブオイルの専門家と、その最高峰と言われる人に仕事が落ちます。二番煎じ、三番煎じの人は別に。何でも詳しい人ほど仕事にならない。私は「金沢の食べ歩き」と、エリアに専門性を持っています。今では講演の仕事も多いですね。外食文化の始まりや味覚の話、繁盛店の秘密ですとか。飲食店ではなく、経営者さんに向けてお話しすることが多いです。

※フードアナリスト:社団法人日本フードアナリスト協会認定の資格。食に関係する幅広い知識が必要で、1級は高いレベルのテイスティング能力も求められる。

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築120年以上の町家石川県金沢市野町