人と地域のWEBマガジン ISHIKAWA DRAWER

Naoko MatsudaDirector

松田尚子野々市市情報文化振興財団 企画担当ディレクター

子どもたちがこの街で将来を描けるように。気づきと刺激の種まき人。

Person

#05

2017.04.27

企画が企画を呼んでいく。

情報交流館カメリアは野々市市役所に併設されたエデュテインメント施設。市役所に特に用事がなくても気軽に足を運べる施設として、お子さん向けの体験教室やカメリアまつり、パソコン教室やSNSを活用したイベントなど、様々なアクティビティを展開しています。たとえば毎年行っている「星空観望会」。これは2009年の夏にあった部分日食がきっかけとなりました。ちょうど夏休み中だったので、子ども向けに日食観察教室を企画。70名くらい来てくれればと思って先着順で募集をかけたところ、募集開始日の朝にずらりと行列ができていて。9時から募集をスタートしたのですが、15分で定員になってしまいました。そこから急遽200名まで受け付けたのですが、午前中で埋まってしまい…。観察用の日食グラスが足りず、市内の小学校を回ってかき集めた思い出があります。定員を大幅に拡大しても、あいにく参加できなかった方もいらっしゃいましたが、予想以上に天文関連のテーマにニーズがあることが分かり、それならば季節ごとの天文現象を紹介しようということでスタートしたのが星空観望会です。金沢工大の天文部と地元の同好会「金沢星の会」さんの協力のもと、野々市市役所・カメリア横のあらみや公園を会場に、たくさんの望遠鏡を並べて星々の解説をしていただいています。カメリアの隣にあるスーパーで焼き鳥やビールを買い、飲みながら星空を見ている方もいて、運営側じゃなかったら…と思ったことも(笑)。観望会に来てくれた方から「宇宙についてもっと知りたい」などの声をいただき、もっと科学に親しむ機会を提供していこうと、JAXAの科学教育プログラムに応募。野々市市制誕生記念ということで採択され、2011年から「コズミックカレッジin野々市」を開催し、毎年JAXAと連携して講座を開催しています。
 

※JAXA:Japan Aerospace Exploration Agency(宇宙航空研究開発機構)。

カメリアのラウンジでほほえむ松田さん。まったりできるスペースです。

ダメもとでGO!とりあえず当たってみる。

イベントは企画だけではなく、市との予算折衝や広報、運営、時には司会をすることもあって、ピッチャー・キャッチャー・バッターと、一人で野球をしているような感じだねと言われたことがあります(笑)。企画のアイデアはいろんなところにあります。カメリアのキッズコーナーには中学生以下の子どもたちが使えるパソコンがありまして。子どもたちがパソコンでどんなことをしてるのかなーと思って画面を見ると、ぱんぞうのゲームをしている子が多かったんですね。ぱんぞうは、宇宙の平和を守るパンダがモデルのキャラクターで、フリーのゲームや漫画になっています。このぱんぞうの作者が、つるおかけんじさんで、以前、小学館で連載していた方です。そこで、何かアニメーションやプログラミングの講座を開いてもらえないかと思い、小学館に「つるおかさんを紹介してもらえませんか」と直接電話をかけました(笑)。突然のお願いではあったものの、つるおかさんが野々市まで来てくださって。「県外なのでなかなか足を運べないし、一度きりの講座ではもったいないので、継続的に何かできるように」と、パラパラマンガを制作するソフトを作成、提供していただきました。カメリアでは毎年そのソフトを使ってパラパラまんがのコンテストとワークショップを開いています。せっかくなら誰かが作ったものをただ遊ぶのではなく、どんな風に動いているんだろうとか、中身の方に目を向けてほしいという思いがありましたね。
 

※つるおかけんじさん:WEBゲーム作家、漫画家。「みらくる!ぱんぞう」のサイト(http://family.shogakukan.co.jp/kids/netkun/panzo/g-index.htm)にはたくさんのゲームが公開されています。

アニメーションつながりでいうと、国際アニメーションデーin野々市というイベントを開催し、短編アニメーション作品の上映をしています。実施の背景にあるのは、広島で2年に1度開かれている「広島国際アニメーションフェスティバル」というイベントです。世界的にも大きなアニメーションのイベントで、一度見に行きたいなと思って広島まで足を運んだ際に、会場で総合ディレクターの木下小夜子さんを探し出してご挨拶させていただきました。ありがたいことに、木下先生が子ども向けのアニメーションをつくるワークショップの講師として来てくださることになって。去年野々市の子どもたちがこのワークショップでつくった映像は日本代表作品として、広島国際アニメーションフェスティバルで上映されました。
 

※広島国際アニメーションフェスティバル:2年に1度、広島市で開かれている映画祭で、何と世界4大アニメーションフェスティバルのひとつだそうです。木下小夜子さんは広島開催の立役者となったアニメーション作家で、各国の国際映画祭での受賞歴多数。

何か気になったらもう、電話するか行く!みたいな。ダメもとで飛び込みみたいな感じなんですけど。

アニメーションワークショップで、切り絵をちょっとずつ動かすコマ撮りに挑戦中の参加者。木下先生から直伝。

Tchin-tchin!学びの場はどこにでも。

イベントはほとんどが土日開催で、カメリアの事務所番は土日も職員が交代で行っていることもあり、土日でも朝から夜まで仕事をしていることが多いです。休みの日も何かの参考になればとあちこち出向くので、プライベートと仕事の線引きがあまりできないかもしれないです。そういった意味では、好きじゃないとできない仕事ですね。職場を離れてもアンテナは張るようにしていて、お酒の場でも仕事のアイデアを得ることがあります。金沢の片町にある「こわん」というワインバーによく行くのですが、そこに集まるお客さんは話題の豊富な面白い方が多くて。店主の秋乃さんとはもともと友人で、NPO法人趣都金澤のメンバーつながりということもあり、たまにここで打ち合わせをしたりもします。お店で他愛もない話をしながらも「こんな人がいるよ」と紹介してもらったり、金沢の歴史のお話を聞きながら、地域間のつながりを発見してイベントのヒントを得たりとかもあって、とても刺激になる場所ですね。好きなワインですか?泡です。泡を何杯かいただいてから、おすすめの赤ワインに進んだり(笑)。
 

※秋乃さん:フルネームは谷村秋乃さん。金沢のレストランでワインイベントを開くことも。
※泡:ここでは、シャンパンやスパークリングワインを指します。

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